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【書評】フランツ・リストはなぜ女たちを失神させたのか ピアノの如くキーボードを打刻するブロガー界のフランツ・リスト!

フランツ・リストの名を知ったのは、若かりし頃ショパン学習漫画を読んだときのことだっただろうか
西洋音楽史にまるで疎い自分は、彼の存在をそれまで知らなかったのである。ショパンとリスト。良きライバルとして、良き友として互いに意識し切磋琢磨していた二人の天才。
死後もなおその名を轟かせたのはショパンであり、そのショパンを語る上でのお飾りに成り下がってしまったリストは、ライト兄弟の伝記におけるリリエンタールのようなものか
二人の名声を分け隔てたのは何だったのか、それは前者が作詞家であり、後者は演奏家だったということが挙げられるのではないか
ショパンの楽譜は時代を超えても、録音機材もyoutubeもない当時とあっては超絶技巧と謳たれたリストの演奏も我々の耳には届かなかったのか…
今回紹介する新書に出会うまで、僕のリストに関しての偏見はその程度のものだった
フランツ・リストはなぜ女たちを失神させたのか」タイトルのつかみはよし。だがタイトルそれそのものは、本書のキーポイントに迫るものではないからネタバレしよう!
リストは、18世紀におけるマイケル・ジャクソンジョン・レノンだったからだ。だからモテたのである。それもものすごく。
180cmもあろうかという長身に金色の長髪を靡かせるベルばらに出てきそうな青年。(彼が生まれたのは1811年というナポレオンも現役だったころなので時系列的にも近い)
ピアノを引かせたら誰もがその天賦の才を疑わない。リサイタルで忘れていった手袋を貴夫人たちが必死に取り合っただとか、その手のモテ話はふんだんに描かれており、決してタイトルは過度なものではない
幼くして父にその音楽的才能を見出され、ウィーン、そしてパリへと活躍の場を重ね、ヨーロッパ中がその演奏に歓喜した。一方で、学のない自らを恥じ聖書を始めとする古典を乱読していた時期もあったという。
リストの生きた時代から描き見る、当時のヨーロッパを取り巻く文化背景や西洋音楽史の知識もカバーされている。
だが、僕はさまざまな書簡や弟子の証言から、寧ろリストという人物像が浮き彫りになるどころか遠のく感じすらした。音楽家のイメージとしてありがちな奇人を思わせるエピソードはなく、むしろ良識をもった誠実性ある側面を伺わせる人柄。
天才としてその才能を遺憾なく発揮した派手な人生に、何か空虚感を抱いていたと思わせる節も多い。
ショパンの死後、リストはショパンの十八番だったボロネーゼの編曲にに着手したことをある伝記作家はショパンへの敬意からだといい、またある伝記作家はショパンの功績の横取りだと主張している。
その真意を確かめる術は永遠にないものの、僕はどちらだったかわかる気がする
そう霊感したのは、本書終盤に挿入されている彼の晩年の写真である。
生々しいイボが目立つその老人は、かつての蒼白の美青年の面影を感じ取れない、悲しげな表情をしていた。彼を通じて人の人生のなんたるかを感じさせられた。
何かを訴えかけるような目にあなたは何を感じ取るのだろうか。ぜひ本書を手にとって読んでみてほしい



フランツ・リストはなぜ女たちを失神させたのか (新潮新書)

フランツ・リストはなぜ女たちを失神させたのか (新潮新書)